お客様満足度
お客様満足度
ある観光地でのお話です。名物料理を出すお店に1人の初老の男性が入ってきて、料理を注文しました。料理が出てくると男性はおもむろにカバンの中から何かを取り出し、料理の横に置きました。お店の女性が近付いてみてみると、それは写真立てでした。話を聞いてみると「この地に一緒に旅行に来て、この料理を食べようと話していたのですが、妻は先日亡くなってしまいました。それで私は妻の来たかったここへ妻の写真と一緒に来ました」と話されました。話を聞いたお店の女性は、奥に下がると直ぐに出て来て、そっと奥さんの写真の前にお茶碗とお箸を置きました。その心遣いに男性は涙を流して喜ばれたそうです。外国に比べればまだましとはいうものの、観光地や旅先で嫌な思いをすることは少なくありません。最近のサービス業はCSを掲げてお客様対応をするところが多くなってきました。Customer Service ではなくてCustomer Satisfaction(顧客満足度)です。お客様にサービスをすることよりも、お客様に満足していただくほうが大切だという考えです。10年以上前ですがニュージーランド在住の友人を訪ねて行った事があります。彼はニュージーランドでも1~2を競うほど有名なレストランの料理長兼ゼネラルマネージャーをしていました。ある日、開店したばかりのとても繁盛しているお店に連れて行ってくれました。高級感溢れる広い店内、お客も一杯、従業員もたくさん働いています。田舎物の私は少し気後れしそうなくらいのお店です。席に案内されて暫くすると妙に寒い。店内は熱気に溢れているのに、私達の座っている辺り数席が寒い。どうやら天井から出ている冷風が壁伝いに私達の辺りに下りてきているようです。彼は直ぐ従業員を呼び、その旨を伝え、何とかして欲しいと訴えました。従業員は上司に、上司はGMに伝えましたが、結局「どうしようもありません」という返事でした。出てきた料理はとてもおいしいものでした。店を出ると彼は「ダメだ、この店は長くは続かない」と一言。帰国後、彼とのメールのやりとりをして一年が過ぎた頃、「あの店はつぶれた」と言ってきました。あの繁盛ぶりから私はとても驚きましたが、プロの彼から見れば、客を大切にしない店など続かないことは一目瞭然だったのでしょう。